2025/8/10 |
ヒギンズさん
先日、東京ビッグサイトで開催されていた鉄道模型コンベンションを見学してきました。この展示会の中で
たまたま受講したセミナーが少し感動しましたので、お話したいと思います。
聞きたかったのは、レールについてのセミナーでしたが時間割では、15時からだったので10分くらい前に会場に行きました。しかし、このセミナーは、
すでに終了していて次の回の『米国人ヒギンズさんが撮影した昭和30年代の日本の鉄道』の受付になっていました。
このときは、少し疲れていて座りたかったので、そのままこのセミナーを聞くことにしました。どうやら、HPからダウンロードしていた時間割が
間違っていたようです。
米国人のヒギンズさんは、昔の日本の鉄道写真をたくさん撮影した人のようです。この方は、米軍の軍属で昭和30年から横須賀基地で勤務されていて、休日には日本各地の鉄道の写真、主に地方の
ローカル鉄道の撮影をしていたそうです。その頃日本では入手しにくかったカラーフィルム(コダクロームというスライドFILM)
で撮影していたそうです。コダクロームは、外式のスライドFILMです。カラーFILMは、内式と外式があり発色の方法が異なり現像処理も
異なります。
カラーを発色させるために現像時に発色剤を入れるのが外式、FILM自体に発色剤を内蔵しているものが内式です。私が知る限り、外式FILMは
コダクロームだけで、エクタクロームや富士のフジクロームなど、ほとんどが内式です。外式の大きな特徴は、変色、退色が少なく保存性が
良いことです。ヒギンズさんは、コダクロームを使用していたため、60年くらい経過した今でも、まるで昨日撮影したような
きれいな色が出ていることです。ただ、この頃のコダクロームは、ISO感度が10しかないので(デジタル化前のFilmは感度400が標準的)晴れの日でないと
撮影が難しい。従って晴れの写真が多いそうです。
私自身も使ったことのあるFilmですが(後の改良版のコダクロームⅡ,ISO感度64)、内式に比べると価格が
高いこととISO感度が低いので飛行機写真には使いにくいFilmでした。
ヒギンズさんが、撮影されていた写真は、地方のローカル鉄道や路面電車などで地元の人しか知らないようなマイナーな路線を
メインに撮影していて、日本人の鉄道ファンなどがほとんど目を向けていない、撮影していない路線でした。このため今まで写真が
残っていない、ましてカラー写真なども残っていない、ローカル鉄道、路面電車で、記録としても貴重なものとなっているそうです。
モノクロなどでは、わからない車体の鮮やかな色がきれいに表現されています。
このような地方のロ-カル路線の情報を、米国人であるヒギンズさんが、どのように得ていたのかということもよくわかっていないそうです。
セミナーでは、撮影された写真を何枚も紹介され、今は、廃線となっている路線が多くありました。
約1年間の横須賀勤務のあと、一度帰国し数ヶ月後に再来日し、今度は府中の米空軍基地に勤務したそうです。今の航空自衛隊府中基地です。
ここから、また日本中を旅して写真を撮っていて、日本人女性と結婚し98歳となる今もご健在で静岡に住まわれているそうです。
コダクロームによるカラースライドが6000枚以上でモノクロの写真も1000枚以上があるそうです。また米国在住時に撮影したFILMも膨大にあり、
今後の保存について、まだめどが立っていないことが危惧されているそうです。
下は2004年に刊行された写真集。このほかにも何冊も発行されているようです。
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